『聖☆おにいさん』(セイントおにいさん)は、中村光による日本の漫画作品。
世界観
本作ではキリスト教と仏教をはじめ、オリンポス神や神道、ヒンドゥー教などの
民族宗教や、地域信仰をふくむ様々な神々が会話の中などで登場しており
古典宗教が全て実在していたという世界観となっている。
ブッダやイエスを代表に、各宗教の逸話や設定が、俗説や後世の創作物を
含めて、ギャグとしてアレンジされつつ豊富に引用されているのが特徴。
登場人物
主要人物
- ブッダ
- 声 - 星野源
- バカンスとして人間界に降り、イエスと共同生活を送る。
- 螺髪、額の白毫、長い耳たぶが特徴の青年。
螺髪及び白毫は神通力で毛を1本ずつ丸めた物で、元に戻すと相当な
長さになる。
耳たぶは丸めて耳に詰めることで耳栓になる他、夏は冷たい手触り。
小学生(天敵と言われている)や酔っ払いから白毫を「ボタン」として
押されたり、イエスに耳たぶで涼を取られたりと、何かと身体的特徴を
ネタにされる。
これらは天部衆による身体改造の結果で、ブッダ自身は「16本に増や
された親知らず」だけは消化の助けになると喜んでいる。 - 下界の生活では家事全般を担当。
菜食主義者のため肉料理は基本的に作らない。
修行時代の苦行経験から倹約家となり、特売セールや広告などには
敏感で数百円使うのにも厳格。
無駄遣いしやすいイエスをたしなめることが多い。
家電製品が大好きで、誕生日にイエスから石釜スチームオーブンを
贈られた時はすごく喜んだ。
座禅を組んで浮遊し、アンテナ無しでデジタル放送を部屋にひくこと
が出来る。 - 普段は大人しく温厚。ただし怒らせると頭が発光し、4度怒らせるとと
ても危険なことになるらしい(「仏の顔も三度まで」)。
徳のある言葉を言っても後光が射す。喜びなどの感情が高まると奇跡
を起こし、触れたものをりりしいデザインに変えたり芽が出たばかりの
植物を花が咲くほど成長させたりする。 - シルクスクリーンを趣味にしており、2人が普段着るプリントTシャツは
三割が彼のお手製である。
この事はイエスには秘密にして「どのTシャツを一番気に入っているか」
を「Tシャツ聖戦(バトル)」と呼び、チェックしている。
どんな事も苦行にする癖があり、イエスに注意される(苦行スイッチ)。 - 元々運動が趣味だった事もあって「ガンジス河のランブルフィッシュ」の
異名をとるほど泳ぎが上手く関節も柔らかい。
痩せていたいらしいが、天部は「ブッダははんぺん系(太っている)が
いい」と考えているらしく、毎回ブッダのダイエットと天部による栄養補給
(食べないならば毛穴から直接流しこむ)と言う熾烈な争いが繰り広げら
れている。 - 漫画喫茶で手塚治虫が描いた自分の人生の物語(『ブッダ』)を読んで
感動し、手塚ファンとなって全巻を買い揃えた。
砂絵で漫画を描いた事があるなど元々絵には関心があり、イエスにも
らった漫画家入門セットを機に本格的に漫画を描き始める。 - 生まれながら動物に好かれる。油断すると動物達に囲まれたり、窮状を
助けようと動物がどこからともなく現れる。
そのため、一度で良いから動物達から嫌われたいと思っている。
座禅を組んでいるとお年寄りなどから供え物をされることもある。 - イエス
- 声 - 森山未來
- バカンスとして人間界に降り、ブッダと2人暮らし。
- ロン毛、髭面で、頭に茨の冠を着けた青年。ジョニー・デップに似ている
と言われることがあり、本人も意識している。
茨の冠にはGPSとブザーが内蔵されており、ブザーを鳴らすと5秒で天使
が飛んでくる。
濡れると茨に葉が生い茂る(シャンプーハット)。 - ブッダとは対照的にやや子供っぽくてノリが良く、何事も形から入る
タイプ。
天然ボケのところもある。小学生からその道の人(勘違いされた結果で
はあるが)まで様々な人と打ち解けている。
基本はブッダを引っ張り回す役で、浪費家ゆえにしばしばブッダを怒らせる。 - 額の聖痕は極度のストレスや恐怖を感じると出血し、その際には迫害を
危惧した天界の住人(天使)が迎えに来ることもある。
ジャンプしたり高い所に上がった場合にも天使が来ることがある。 - 嬉しいことがあったりお笑いでツボに入ったネタがあると奇跡を起こし
石や食器をパンに、水を葡萄酒に変えたり、病人を治療したりできる。
ものすごく悲しいことを考えると、逆の現象が起こる。
彼の血自体に万病を治療・予防する加護があり、触れた器物は片っ端
から聖遺物になり、その使用者も芝居がかったキャラになる。
イエスが近づくだけで病人はほぼ勝手に治ってしまうため、まともな
看病をしたことが無い。
ただしブッダの風邪は治らなかった。 - ブッダが師弟関係に厳格であるのと対照的にかなりフランク。
笑いの沸点はかなり低く、自分をネタにした弟子のジョークにすら大ウケ
し、自分を売ったユダとも良好な関係。
あまりの無警戒さにむしろブッダや天界の住人に心配される。 - スポーツは得意ではないが唯一得意なスポーツとして卓球がある
(第3巻の18章 いい旅 極楽気分を参照)。普段は部屋でゴロゴロして
いることが多く、かなりの暇人。
乗り物にも弱くすぐ酔う。水嫌いで、苦手なあまり洗礼の手法を変えて
もらったり、波を起こす海に怒って波を止めさせてしまったり、やむを得
ない時には水上を歩くなど反則行為に出る。
一方で、極楽サイドの伝統スポーツ「ショムジョ」においてはブッダと
組んで名を馳せたプレーヤーでもある。
また、ボウリングに関しても超越した力を持っているが、イエス自身は
スポーツではなく、ボウリングの起源である悪魔祓いの儀式として
行っている。 - パソコンやネットを嗜む。弟子と共にオンラインゲームを嗜み、「いえっさ
のドラマンダラ」というテレビドラマ感想ブログでランキング1位を取る
ほどの有力ブロガーとなっている。
最新型のパソコン等には敏感で秋葉原を聖地と思っている。
ハンドルネームは統一して「いえっさ」。 - お笑い好きでネタ帳を作っており、ひょんなことからブッダとお笑いコンビ
「パンチとロン毛」を結成。
ゆくゆくはM-1グランプリ優勝を目標としているが出来は微妙で、ネタの
見解の相違からブッダを怒らせかけることも。 - 「シュワッキマッセーリ」をロシア語か何かの歌だと勘違いしていた
(後にカラオケで賛美歌として歌っている)。
聖書に蛇がアダムに知恵の実(リンゴ)を食べるよう唆した描写がある
ため、蛇が全体的に苦手。
そのためムチリンダや弁才天の蛇も敬遠しているが、ブッダが風邪を
ひいて発熱した際は普通に「ヘビ呼ぶ?」とも言っている。
他にも磔刑にされた経験から、スプラッタなども苦手。聖☆おにいさん 監督 高雄統子 脚本 根津理香 原作 中村光 出演者 森山未來
星野源音楽 鈴木慶一
白井良明主題歌 星野源『ギャグ』 製作会社 SYM製作委員会 配給 東宝映像事業部 公開 2013年5月10日 上映時間 90分 製作国 日本 言語 日本語 2013年5月10日公開。キャッチコピーは「神も仏も、ここにいる。」。
入場者特典は単行本未収録エピソードも掲載されているスペシャル
ブックレット『聖☆おにいさん ネ申話 ~降臨前夜~』。映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第9位となっている。
スタッフ(映画)
用語解説
- 最聖コンビ
ブッダとイエスの呼称。作中でこう呼ばれている訳ではなく、専らあらすじ紹介や
宣伝の中での呼称。
- Jr.(ジュニア)
商店街の福引きでブッダが当てた金ピカの仏像。邪魔にならないように部屋の
隅に置かれている。物干し竿を固定するのに用いられたり、夏場に涼を得るた
めにイエスが抱きついたりと、結構重宝されている。生活費が火の車になった時
その身を犠牲にしようとするかのように、売り物用ダンボールに倒れ込んだ。
ブッダは手に入れた当初は偶像崇拝を禁止すべきだったと嘆き、仏像を置くこと
で変な宗教団体か強烈なナルシストに思われたりしないかと心配していたが
暫くして愛着が湧き自分の弟のように感じている。「Jr.」という名前もブッダの命名。
なお、実際に仏像が作られるようになるのは、ブッダの死から数世紀を経てから。
- パンチとロン毛
ブッダとイエスのお笑いコンビ名。H・Rグランプリに急遽参加することになった
時に使った。
- カンダタ
秋葉原のゲームセンターにて、ブッダがクレーンゲームで獲得した人形。
命名はブッダ。
クレーンに捕まった際他の人形達の糸が絡み付き、クレーンに引っかかった糸
が重さに耐えきれずに切れた。糸が切れたため獲得となり、2人の家に来た。
大掃除の際、イエスに排除されそうになったゴキブリを救うかの如く落下して
守った。
実は本人が憑依しており、夜な夜なJr・ベロニカTシャツと会話を楽しんでいる
本来はバリトンボイスの中年男性なのだが、ブッダのマスコットキャラとしての
プロデュースを裏切らないために、ムリして裏声で話し、マスコット的ポーズを
取ろうとするので、たびたび破けて綿が飛び出る。
元ネタは芥川龍之介の『蜘蛛の糸』。
- ベロニカTシャツ
ブッダお手製プリントTシャツの一つ。イエスがランニング中、体力が少ない時に
着ていたTシャツで汗を拭いたところ、イエスそっくりな顔が表面に浮かび
上がった。
思ったことをそのまま正直に喋る。洗えば落ちるらしいが、洗おうとすると涙を流し
ながら助命を乞うため、結局そのままになっている。冬は冬眠している。
- アークエンジェルズ
ミカエル達が自分達のことを名乗る時に使う名称。アイドルグループとして下界
デビューのために曲作りに精を出しているが、最近はアイドル路線から
ヴィジュアル系に変遷しつつあるらしい。
- 奇跡
ブッダとイエスが起こす超自然的な現象。主に感情が高ぶったときや慈悲深い
言動、徳の高い言動をしたときに起きる。基本的に当人達の意思とは無関係に
起こってしまうため、人前で奇跡を起こしてしまった時は誤魔化しに
奔走することになる。
- リンゴ
旧約聖書において知恵の実とされる果実。イエスはその伝承のため口にした
ことがなかったが、一度食べた際に知恵(?)を付けてしまい、ブッダ曰く
「絡みづらい」人柄へ変わる騒ぎとなった(ジャムならOK)。
これに懲りて、ブッダは以降イエスに食べさせないようにしている。
また、リンゴを直接口にしただけでなく、リンゴに関係する物に触れても同じ
ような状態になるらしく、リサイクルショップでリンゴのマークのついたパソコン
を操作した際にも「絡みづらい」人柄へ変わり、ブッダを慌てさせている。
- ヤコブの梯子
旧約聖書においてヤコブが夢に見た、天使が上り下りしている、天から地まで
至る梯子、あるいは階段。今はエレベーター化されて天使の通勤に使われて
おり、昇降口には天部が発行しているフリーペーパー「R2000」が配布されて
いる。イエスが帰省しやすいように立川直通のものがつくられ、天界から立川
まで1時間で来ることができるようになった。
- 苦行スイッチ
ブッダが苦行モードに入る時のスイッチ。スイッチが入ると断食や精神的苦痛が
伴うものを耐え続けるので、一緒にいるイエスは困惑する。
梵天はこれを逆に利用する術を知っており、言葉巧みにブッダに仕事を
引き受けさせた。
- いえっさのドラマンダラ!!
イエスのブログ。全てのテレビ局の全ての時間帯の全てのドラマの感想を
その日の内にアップする。
ブログのコメントに3秒で返信するなどの超人的な内容により「神降臨」と
コメントされたため、「名前や職業は伏せてあるのに(なぜバレたんだろう?)」と
2人が首を傾げた。現在では一日1万ヒットを誇る人気ブログ。
- デーモンハンター
イエスやペトロらがプレイしているオンラインゲーム。「デモハン」と略される。
通常は夜中の1時くらいからが盛り上がるらしい。初心者はヴィラスーラ平原と
いう場所でレベルアップするのが望ましい。
小さくて弱いが、口の悪い小悪魔のようなマスコットキャラクターがいる。
- ネトゲ聖人
ゲーム内でイエスが弟子たちと共に組んでいるチーム。目的は「珍しいキノコ
を探すこと」。
- 悟れ!! アナンダ!!
ブッダが描いた4コマ漫画。略称は「悟アナ」。ブッダの弟子アナンダがモデル。
天界のあるあるネタが描かれ、イエスを始め天界の住人には大好評で二次
創作も出回っている。
ブッダ本人に掲載するつもりはなかったが、梵天の働きかけによって天界の
フリーペーパー「R2000」に連載することとなる。
6巻のエピソードで単行本化され、1巻のおまけマンガ「さんだるふぉんと
めたとろん」をイエスが描く(実際には単行本の半分近くが描き下ろしであり
ブッダが「早すぎる」と言うのも当然)。由来とネタはアナンダが弟子の内で
最も悟るのが遅かったため。
- 総合あの世連合
天界の住人達の組織をまとめた総称。略称は「総世連」。より厳密には
イエス達の「天国サイド」とブッダ達の「極楽サイド」に分かれる。
相応に交流はあるが、互いに知らないことも多い。
- お焚き上げ入稿
梵天が使用する入稿方法。原稿をそのまま燃やすことで、一瞬で天界に
原稿を送れる。
- ショムジョ
極楽サイドの伝統と言われるスポーツ。錫杖のようなスプーンを使ってゴールを
狙うというもの。
そのルールは諸行無常のごとくゆらゆらしていてはっきりしない。ルールの
理不尽さに心が折れた者が負けとなるゲームである。
極楽サイドのスポーツではあるが、過去にイエスがレギュラー選手として伝説的
な活躍をし、最近ではヤコブとヨハネの兄弟もレギュラー選手として認められて
いる等、僅かではあるが天国サイドで行う者もいる。
- 松田ハイツ
松田さんが営むアパート。家賃は4万円。お風呂なし。ペット禁止。
梵天はイエスとブッダがここで暮らしているのでこのアパートを聖地と呼んでおり
松田さんを聖地の管理人と考えている。
- ワケあり物件
イエスが見つけた1DKの好物件。家賃は三万円。お風呂あり。ペット応相談。
外国人もOK。隣にコンビニがある。実は部屋の一つに霊道があり幽霊達の
天界への通り道になっている。
- H・Rグランプリ(ハッスルリンググランプリ)
緒方さんが主宰しているお笑い大会。優勝者にはお米券が与えられる。
審査員が全員老人であるため、ウケを狙うことは難しい。
- つくもん
イエスの使っているノートPCの愛称。元のOSはWindows98だったが、九十九神
が憑いたためWindows99になっている。
スペックはかなり高いのだが、イエスを守ろうとするばかりにウイルスチェック
ソフトを数多くインストールしてデータ処理に影響が出ている。
- 復活祭
天界における復活祭は死んだイエスが復活して弟子達を驚かせたことに対する
逆ドッキリを仕掛ける日となっている。
作中ではペトロとアンデレが仏門に下るというネタでブッダを激しく動揺させるが
ターゲットであるイエスは冷静に見破り不発に終わる。
- クリスマス
天界でもイエスの誕生日を祝う日になっており、イエス本人も天界で行われる
サプライズパーティーを毎年楽しみにしている。
その反面下界のクリスマスに関する知識が薄く、「サンタクロースがトナカイで
の飛行に成功した日」と誤解する。
- カンタカ2号
ブッダとイエスが購入したカゴ付の自転車。蹄の音が聞こえてきたので即座に
名前が『カンタカ2号』に決定した。
- 試練カタログ
天部が毎年中元としてブッダに送ってくるカタログ。
掲載されている試練を選び、付随しているハガキに書いて送ると、その試練に
自動的に遭遇する。試練には『重傷系』『疎外系』『死別系』等があり、ハガキを
出さないと期限切れの後人気が無く余った地味に嫌な試練が自動的にやって
くるシステムになっている。ブッダはとても心を豊かにしてくれるプレゼントとして
喜んでいるが、イエスからは呪いの書扱いされている。
ポチッとクリックお願い