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ABO式血液型を遺伝子から見るヒトの祖先はA型だった

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ABO式血液型
(ABOしき けつえきがた)とは、血液型の分類法の一種。

A、B、O、ABの4型に分類する。血液の種類を表す型ではない。
 赤血球の表面には250種以上のがあるが、A/B型抗原はその代表的な抗原
である。
 赤血球の表面にA抗原があるとA型、B抗原があるとB型、AとB,両方の抗原が
あるとAB型、両抗原が無いとO型とする
逆に中には各抗原に反応する抗体があり、通常A型の血漿中には抗B抗体があり
B型の血漿中には抗A抗体があり、AB型の血漿中には抗A抗体も抗B抗体の
どちらも無し、O型の血漿には抗A抗体と抗B抗体両方が存在する
血漿中の抗体を調べることで血液型を判定することを裏試験ともいう。
表面抗原に、それぞれ対応する抗体が反応すると赤血球は凝集してしまう。






ABO式血液型を遺伝子から見るヒトの祖先はA型だった

血液型といえば一綾にはABO式を指すほど、この血液型はよく知られているし
最初に発見された血液型でもある。
ABO式血液型の遺伝がメンデルの遺伝法則にしたがうことは、一九〇〇年に
カール・ラントシュタイナーによってこの血液型が発見されてから、二〇年ほどたって
ようやく解明された。
すなわち、一個の遺伝子座の上に乗っている対立遺伝子によってこの血液型が
決まっているのである。


ABO式血液型の対立遺伝子には主にA・B・Oの三種類があり、AとBは互いに
優性、OはA・Bに対して劣性である。
A対立遺伝子を持つ人は、からだの中の多数の細胞表面に特有の糖鎖
(A型物質)を持ち、B対立遺伝子を持つ人はそれと少し異なるB型物質を
持っている。
一方、O型の人(O対立遺伝子を二個持つホモ接合型)はA・B型物質の糖鎖より
少し短いH型物質を持っている。

これらのことから、AB0式血液型遺伝子はH型物質の糖鎖に糖をくっつける
「糖転移酵素」の遺伝子だと考えられていた。
この酵素と遺伝子の実体は長いあいだ不明であったが、一九九〇年になって
山本文一郎氏と箱守仙一郎氏らのグループが、A・B・O各対立遺伝子のDNA
塩基配列を決定した。
その結果、A対立遺伝子から作られるタンパク質とB対立遺伝子から作られるもの
では、アミノ酸が四個異なっており、またO対立遺伝子では一塩基の欠失突然
変異が生じたためにフレームシフト(遺伝暗号の読み枠がずれること)が起こり
糖転移酵素の働きがなくなっているらしいということがわかった。

       表4 霊長類のABO式血液型

名称(分類)発見された型
チンパンジー(類人猿)
ゴリラ(類人猿)
オランウータン(類人猿)
シロテテナガザル(類人猿)
アカゲザル(旧世界猿)
キイロヒヒ(1目世界猿)
リスザル(新世界猿)

A,.O
B
A,B,O,AB
A,B,AB
B
A,B,AB
A,O
     

ヒト以外の霊長類でもABO式血液型は存在するが、表4に示したように不思議な
分布をしている。
チンパンジーにはB型遺伝子がなく、逆にゴリラにはA型遺伝子がない。
一方、もっと人間から遠いオランウータンや旧世界猿では、A対立遺伝子とB対立
遺伝子のどちらもみつかっている。
このため、ABO式血液型遺伝子座では、霊長類の進化のかなり古い時代から
A・B対立遺伝子が共存してきたのではないかという仮説があった。

山本文一郎氏らがこれについても、チンパンジー、ゴリラ、オランウータン、ヒヒ
など数種類の霊長類におけるABO遺伝子座の塩基配列を決定した。
この図から、ヒト、ゴリラ、ヒヒで見つかったB型対立遺伝子は、それぞれ独立に
A型対立遺伝子から生じたことが予想される一図の点線)。つまり、ヒト、類人猿
旧世界猿の共通祖先では、ABO式血液型の共通祖先遺伝子はA対立遺伝子
タイプであったと考えられる。
なお、図中の数字は、それぞれの進化の枝で生じた塩基置換数を表わしている。

ABO式血液型の遺伝子は、通常の遺伝子がしたがっている進化パターンには
あてはまらないようである。
第一に、糖転移酵素の働きがなくなっているのにもかかわらず、O対立遺伝子の
頻度がかなり高い。
重要な物質交代を担っている酵素遺伝子の場含、酵素の働きがなくなってしまう
突然変異が生じると、普通はその個体の生存にきわめて不利なので、子孫を残し
にくくなるはずである。
したがって、ABO式血液型に関与する糖転移酵素は、人間がとりあえず生きて
ゆくのには絶対必要であるわけではない。
ところが、私たちの推定によると、ABO式血液型の遺伝子は脊椎動
物が出現した五億年以上前頃から延々と偽遺伝子にもならずに生き残ってきた
のである。
このことから、弱いながらもこの遺伝子にはなんらかの存在意義があると思われる。
このように、絶対に必要というわけではないが、あったら少しは役に立つという
遺伝子が、ヒトゲノム中にはたくさんあると私は考えている。

また、A型とB型の対立遺伝子の共存が霊長類のあちこちの種でみられることも
不思議である。
この遺伝子がなぜこのような変異パターンを示すのか、まだよくわかっていないが
バクテリアやウイルスなどの感染を防ぐのに、ある程度の効果があるのではないか
と考えられている。
実際、胃潰瘍や胃癌の原因のひとつであるヘリコバクター・ピロリというバクテリア
は、胃壁にもぐりこむ際に、ABO式血液型物質の前駆体であるH型物質を足場
にしている。
するとH型物質しか持っていないO型の人間は、胃潰瘍などになりやすいため
多少は生存に不利となるだろう。
しかし、まだまだこれらは仮説にすぎない。
わからないことが多すぎるのである。






血液型性格分類には科学的な根拠が認められず、統計的に有意な差も認められ
ない事から、誤った説であると断定できる。

いわば迷信、疑似科学の類であり、占いと似通った性質であるため血液型占い
とも呼ばれ、中には星座占いや干支等の他の占いと組み合わせた判断法まで
存在する。
血液型と性格は関係がないことが証明されているにも関わらず、血液型と性格
に関連があるかのように決めつける差別問題が存在する血液型による差別や
偏見、嫌がらせなどを「ブラッドタイプ・ハラスメント」と呼ぶ。
狭義にはABO式血液型による分類を指すが、白血球型なども含めた血液型全般
による分類を指すこともある。
「血液型気質相関説」や「血液型人間学」とも呼ばれる。

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