民主主義になったのは戦後から、という勘違い
伝統的民主主義が発達していた日本。
ミズーリ号上で日本の降伏文書にサインするマッカーサー(PD)
かつて日本は美しかったから引用
日本は戦後になって民主主義になった
戦前はひどいものだった
日本国憲法は民主的な憲法だ。
明治憲法は封建的な憲法だった。
と教えられて大人になりました。
ところが日本国憲法(GHQ憲法)を読むと不思議なことに
「民主主義」という言葉は出てきません。
民主主義も国民主権もルソーらが発展させた概念ですが
ルソー自身は
「社会契約論」の中で君主制は裕福な国民に
適し、民主制は貧しい小国に適す、と言っています。
モルデカイ・モーゼ(著)「日本人に謝りたい」によると
ルソーはつぎのことを言っています。
「人にもし随意に祖国を選べというなら、君主と人民の間に
利害関係の対立のない国を選ぶ。
自分は君民共治を理想とするが、そのようなものが地上に
存在するはずもないだろう。
したがって自分は止むを得ず民主主義を選ぶのである」
ルソーのいう君民共治である
理想の国家は日本でした。
日本の天皇の統治は「シラス」といい、民衆の心を知って
民衆のために公平に国土を治めることです。
歴史上、君民が対立したことは一度もありません。
戦前の日本が封建社会だったというのはGHQの思い込みで
GHQ史観が戦後浸透して「戦前は封建社会」になってしまった
ようです。
この思い込みはGHQ内でも知日派のハーバート・ノーマン
(共産主義者)の言がもとになっています。
ノーマン
「封建時代と現代の境界を画した1868年(明治維新)の
革命が中途半端であったために、封建日本は近代日本社会
に消えない傷跡を残した・・・」
こうした知日派ノーマンらの言よりGHQは封建社会の除去を
はじめ、民主化を唱え、その中で日本国憲法が作成されました。
しかし、その民主化の中には
「社会主義が隠されていました。GHQの外交官のエマーソン
(共産主義者)はこう回想しています。
「1945年には、われわれは、支那、日本、その他の国々が
到達すべき目標は民主主義であるという点で同意することが
できた。
われわれと共に、共産主義者は、ファシズムに対して相携えて
戦っていた。
後になってようやく、われわれは同じ言葉に終始違った意味を
付与していたことが明らかになった。
『われわれ』の民主主義は、『彼ら』の民主主義とは
違っていた」
GHQは
「民主主義」を封建社会に相対するものとして
共産主義、社会主義をも含めて捉えていたといえます。
日本の民主主義は君民共治の中で伝統的に育てられて
いました。
江戸時代でも農村は自治社会であり、村役人は村で選出して
いました。
投票を行っていたところもあります。
武士は口を出せません。
江戸時代は8割が農民ですから、既に民主国家だったと
言えます。
武士道の考え方でも民主主義の考え方が伺えます。
「武士道といふは、死ぬ事と見付けたり」で有名な「葉隠」
につぎのような一節があります。
「義より上に道はあるなり。
これを見付こと容易に成りがたし。
高上の叡智なり。
これより見る時は、義などは細きものなり。
これはわが身に覚えたる時ならでは、知れざるものなり。
但し我こそ見付くべき事成らずとも、この道に到り様は
あるものなり。
そは人に談合なり。
たとへ道に至らぬ人にても、脇から人の上は見ゆるものなり。
碁に脇目八目と云うが如し。
念々非を知ると云うも、談合に極るなり。
話を聞き覚え、書物を見覚ゆるも、我が分別を捨て
古人の分別に付く為なり。」
ここで「談合」が民主主義の原理になります。
さらに「古人の分別」とあり、現在生きている人だけでなく
死者、ご先祖の考え方にも照らし合わせるという歴史軸の
民主主義が見られます。
こうした日本伝統の民主主義は明治維新後、五箇条の御誓文
自由民権運動、大正デモクラシーによって発展していった
わけです。
昭和50年(1975年)
昭和天皇は訪米を前に戦後の日本の民主化について
外国人記者から質問を受け次のようにお答えになりました。
「日本の民主主義の基盤は、明治時代の初期にさかのぼる
ものです。
わが国の旧憲法は、明治天皇の『五箇条の御誓文』に
基づいていました。
私はこの五箇条が日本の民主主義の基盤であったと
信じています」
日本は戦後になって
封建社会から民主化したのではなく
君民一体の中、伝統的に民主主義は醸造されていたのです。
民主主義では民衆の意思が暴走することがあります。
しかし、日本では天皇の権威とご先祖の意思がそれを
抑止するというバランスのとれた民主主義であるといえます。
参考文献
中公文庫「社会契約論」ルソー(著)/ 井上幸治(訳)
日新報道「あるユダヤ人の懺悔 日本人に謝りたい」
モルデカイ・モーゼ(著)/ 久保田政男(訳)
小学館「天皇論」小林よしのり(著)
転展社「戦後日本を狂わせたOSS日本計画」田中英道(著)
講談社現代新書「貧農史観を見直す」佐藤常雄・大石慎三郎(共著)
新潮文庫「葉隠入門」三島由紀夫(著)
講談社学術文庫「昭和天皇語録」黒田勝弘・畑好秀(編)