日本ユネスコ協会連盟はは22日、カンボジアのプノンペンで開催されている
第37回世界遺産委員会で、『富士山』が文化遺産として世界遺産に決定した
と発表した。
「三保松原(みほのまつばら)」(静岡市)も“一発逆転”でユネスコ諮問機関
の除外勧告を覆し、地元では歓声が上がった。
「日本の観光を盛り上げたい」。列島も喜びに沸いたが、混雑や環境悪化を
懸念する声も。
真価が問われるのはこれからだ。
日本時間午後5時半ごろにその瞬間は訪れた。世界遺産委員会の会場では
文化庁の近藤誠一長官(67)や静岡県の川勝平太知事(64)、山梨県の
横内正明知事(71)らが立ち上がって握手を交わし、喜びを爆発させた。
「日本にとって最高の贈り物」と県庁を通じて談話を出した川勝知事の喜び
はひとしおだった。
「最も優れた景観地だ」との賛同の声が相次ぎ、三保松原の逆転登録が
決まったからだ。
川勝知事はすぐに県庁に電話し「ドイツなどたくさんの国が削るべきではない
と言ってくれた。
涙が出てきた。
三保松原は富士見の場所として大事なのだということで入った」と伝えた。
静岡市清水区の三保松原の入り口にある「羽衣ホテル」の女将(おかみ)
遠藤まゆみさん(55)は従業員から知らせを受けると「ええ!?」と
言ったきり絶句。
身を震わせて泣き出した。
報道陣の前で自ら作詞作曲した「三保松原再生音頭」を歌うはずだった。
●(=歌記号)海原超えて結ばれた 二人の仲をだれがさく
吉報に涙をぬぐい、喜びをあふれさせて歌った。
約7キロの海岸線に5万本以上の松が生い茂り、平安時代から富士山を
望む景勝地として知られる三保松原。
「羽衣伝説」で天女が衣を掛けたといわれる羽衣の松などがある。
この日は連日続いた雨が上がり、雲の切れ間から富士山がくっきりと
その姿を現した。
「まさかまさかでびっくり。三保は大きな一歩を踏み出したなあ」。
土産物店「一ふじ」の芹沢央哲(ひろたか)店長(49)は感慨深そう。
静岡県磐田市から来た自営業、阿部誠さん(44)は「世界の三保松原か。
すごいタイミングに居合わせた」と笑みを浮かべた。
数十年、三保松原から富士山の写真を撮り続けている近くに住む横山健治
さん(84)は「距離が遠いとか、消波ブロックが美観を損ねているからダメ
というのは、あまりにも理不尽だった」と憤る。
「ここからの富士は誰が見たって絶景じゃないか。
きっとここが観光の名所になる」
一方、山梨県の富士山5合目でもお祝いムード。土産物店「こみたけ売店」
では世界文化遺産の文字を入れたタオルなどが並べられた。
店員に「良かったですね。日本の誉れです」と祝福の声をかける客もいた。
富士山五合目観光協会役員も務める同店の小佐野昇一社長(46)は
「20年以上待ったこの瞬間がいよいよ来た」と安堵(あんど)の表情
ただ、世界遺産を守っていく重責も感じている。
「道路の渋滞や入山規制などがまず問題になるが、想定外の事態があるかも。
訪れた人にがっかりされないよう身が引き締まる思いだ」
中で定義されている。2012年7月現在、世界遺産は962件
(文化遺産745件、自然遺産188件、複合遺産29件)。
世界の富士山になり、うれしく思う…安倍首相
倍首相は22日、富士山の世界文化遺産登録を受け
「富士山の多彩な美しさに、古来、日本人は感動し、元気づけられてきた。
『私たちの富士山』が『世界の富士山』になり、心からうれしく思う。
登録を機に政府も海外への発信を強化し、多くの外国の方々にも
日本に足を運び、見てもらいたい」とのメッセージを発表した。
ポチッとクリックお願い