ワシントン=佐々木類】オバマ米大統領から次期国務次官補に指名された
ダニエル・ラッセル国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長は20日
上院外交委員会の公聴会で
「アジア太平洋地域における中国の軍事力や経済力を使った脅しに
強く反対する」と述べた。
また、中国が東シナ海の尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域で挑発活動を
続けていることや、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島で
フィリピンやベトナムと領有権争いを続けていることに直接言及した。
ラッセル氏は中国がこうした海域で示威活動を行っていることについて
「米国は中国に対し、日本やフィリピンなど同盟国を支持していることを
明確に伝えてきた」と強調した。
その上で「米国の国益に関わる問題であり、米中関係に影響を与えることを
中国は理解している」と語った。
米国の新アジア戦略とその意図
米外交の新たな軸としてのアジア
オバマ政権が総がかりで新アジア政策を打ち出した背景には、アジアがこれ
からの米外交の軸となる、との同政権の認識を示したもの、と関係者は受け
取っている。
「アジアへの回帰」と題する論文を雑誌「Foreign Policy」に寄せたのは
クリントン国務長官だ。
この論文の中で同長官は「米国の新しいアジア政策は、アジアにおける米軍
の存在感を改めて強調し、アジア同盟諸国との経済的、軍事的協力関係の
強化を基盤とした、米国のアジアにおける総合的な軍時、経済、政治的
コミットメントを明確にするのが最優先課題」と書いている。
米国の新アジア政策はあくまでも中国を敵視したものではなく、中国の積極的
な協力を期待していると、強調した。
しかし、急速にアジアでの影響力を拡大している中国にとって、米国の
新アジア戦略とどう向き合っていくか、これからの最大の外交課題となろう。
イラクとアフガニスタンに重点を置いてきた米国外交は、これからはその軸足を
アジアに移さなくてはならない、とするのはドニロン国家安全保障担当
大統領顧問だ。
同顧問は具体的な政策として、中東に投入していた米軍をアジアに振り向け
なくてはならない、という。パネッタ国防長官も同様の議論を展開、特に軍事
費削減の動きが議会に見られる中、太平洋における海軍力強化に関する
予算は譲れない、と強調している
「いま米国がなすべきことは、太平洋域における米国の存在感の再確立」
だと言うのだ。
既にそうした米国の戦略転換をものがたる動きもいくつか見られる。
ポチッとクリックお願い