安全保障関連法案(安保法案)が、衆院本会議で可決された。
安保法案とはそもそもどんな法案で、どんな指摘が出ているのか
まとめた。
■どんな法律なのか?
法案は、新しくつくられる
「国際平和支援法案」と、自衛隊法改正案など
10の法律の改正案を一つにまとめた
「平和安全法制整備法案」からなる。
集団的自衛権を認める
国会議論の時間を短縮する
などが盛り込まれた。
そもそもなぜ必要とされたのか?
「日本を取り巻く安全保障環境が変化し
一層厳しさを増したため」
と安倍首相は説明する。
国内外から、「支那の脅威に備えないと、とんでもない
ことになる」
という指摘も出ていた。
また、1991年の湾岸戦争で、日本はアメリカなどに
約130億ドルの財政支援をしながらも
自衛隊を派遣しなかったことが評価されなかったことも
契機となった。
以後、日本はアメリカなどの求めに応じる形で
国連の平和維持活動(PKO、1992年~)を皮切りに
イラクへの人道支援(2003年~)など、自衛隊の海外派遣
を徐々に拡大してきた。
外務省の中には
「外交のツールとして自衛隊を使いたい」という悲願も
あるとされ、2014年に歴代内閣の憲法解釈を変更する形で
これまで禁じてきた集団的自衛権の行使を容認。
2015年にアメリカを訪問した安倍晋三首相は
オバマ大統領に、関連法案の夏までの成立を約束した。
アメリカにとっては、東アジアの戦力バランスあるいは
世界における反テロ戦争に関して、日本がより「負担」
をしてくれる分だけ、アメリカとしては負担が軽減される
からです。
負担が軽減されて助かるとか、カネが浮くと言うよりも
政治情勢や経済情勢の変化の中で
「日本は負担が少な過ぎるからタダ乗りだ」
とか「日本はカネだけ出して、血を流すのは我々なのか」
といった「日本切り捨て論」を防止する効果がある。
■複雑すぎる「事態」
法案では
自衛隊の派遣が可能となる6つの事態を想定。
事態の内容によって自衛隊が活動できる内容
国会承認手続きの必要性などが盛り込まれた。
例えば、「存立危機事態」では集団的自衛権の行使が
可能となり、自衛隊の武力行使も認められる。
原則として事前の国会承認が原則だが、事後の承認も
例外的に認められるとされた。
一方で、国際社会の平和と安全を脅かすような
「国際平和共同対処事態」では武力の行使は認められず
国会の事前承認も例外なく必要となる。
■「存立危機事態」の定義が曖昧
自衛隊が集団的自衛権で武力を行使できる
「存立危機事態」は次のように定義されている。
「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が
発生し、これにより我が国の存立が脅かされ
国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から
覆される明白な危険があること」