銀河系から何百万光年以上も遠い宇宙から飛んでくる
「高速電波バースト(FRB、Fast Radio Burst)」。その名の通り
大変鋭く短い電波であり、長年宇宙物理学の謎の1つとされて
いた。
しかし、ついにオーストラリアのパークス天文台がリアルタイム
で高速電波バーストを観測することに成功したと1月19日の
「Daily Mail」誌が伝えている。
この電波については未だ発生原因は解明しておらず
ブラックホールの蒸発という説や中性子星の合併説
宇宙人からのメッセージなどさまざまな説がある。
今回初めてリアルタイムでの観測に成功したわけだが、我々は
この宇宙の謎に近づくことができるのだろうか。
■世界中の電波望遠鏡が電波バーストに
向けられる
昨年のトカナの記事でも紹介したこの高速電波バーストは
天文学・宇宙物理学など幅広い分野から注目を集めている
謎の電波である。
2007年に初めて観測され、1000分の5秒という非常に短い電波
であったため、電波望遠鏡の故障や地球周辺を発生源とする
信号であると推測されていた。
ところが2012年11月に、これまでパークス天文台でしか観測
されていなかった高速電波バーストがプエルトリコの
アレシボ天文台でも観測され、プラズマ分散を測定してみると
高速電波バーストは我々の暮らす銀河から何万光年も離れた
場所で発生した電波であることが分かった。
今まで高速電波バーストは発生から数週間~数カ月後に発見
されることが多く、長いものだと10年後に発見されたものもある。
今回バークス天文台は"リアルタイムで観測する"ことに焦点を
置き電波から生じるX線の波長を調べ
「オーストラリア」「米カリフォルニア」「カナリア諸島」「チリ」
「ドイツ」「米ハワイ」「インド」と世界中の電波望遠鏡のアンテナ
が高速電波バーストを観測するため準備を整えていたのだ。
この観測による周波数から、発生源は55億光年以上離れた
場所であり、たった数ミリ秒のうちに太陽が1日に放出する
エネルギーと同等のエネルギーが放射されたと考えられている。
またこのことによりガンマ線バースト説や超新星説などが除外
され、発生原因の解明にまた一歩近づいた。
■この電波は宇宙人からのメッセージ?
今回のリアルタイム観測により発生原因はかなり絞られて
きたが、まだはっきりとは確定されておらず、いまだに様々な
憶測が飛び交う中、「これは宇宙人が我々地球人に宛てた
メッセージである」という説を唱える学者もいる。
事実、2012年に高速電波バーストを観測したプエルトリコのア
レシボ天文台は地球外生命体の探査計画も担っており
「宇宙人からのメッセージ説」は真剣に議論が繰り返されている。
またコメントにも「宇宙を砂漠にたとえると銀河系なんて
ひとすくいの砂のようなものさ、生命体が存在する惑星が我々
だけだなんて確信があるかい?」という意見や
「逆に地球からも電波を飛ばしてみたら?」など
宇宙人からのメッセージ説を支持する意見が多い。
地球上には常に宇宙から様々な電波が降り注いでおり
数百億とも数千億とも言われる数多くの銀河が存在する中で
地球に向けて「何か意味を持つ電波」を飛ばす惑星があると
考えても面白いのではなかろうか。
そのメッセージの内容にもよるだろうが......。
55億光年も離れた宇宙から届いた電波をリアルタイムで
キャッチすることに成功したわけだが、今後どのように
解明されていくのか...。
謎の解明が進むことに期待である。
1日1クリックで応援してね
1日1クリックで応援してね